人差し指を自分の唇に当てながら、光花がなんだか楽しそうな表情で口を開いた時。
光花の言葉を遮るように、ーーーガラッ!と乱暴に開いたドア。
そのドアの開く音に、耳も、目も、周りの声も全部吸い込まれていく。
「なっ...んで、」
信じられない。
夢かと思った。
だって、開いたドアから現れたのは
私の学校の制服を着てる蘭君だったから。
驚きすぎて声も出ないくらい、喉になにかが詰まってる。
「なっ、ん...らっ」
"なんで蘭君がここに"と、口を金魚みたいにパクパクさせている私を見て、蘭君がフッと鼻で笑う。
ーーーピタリとその長い脚を止めて、蘭君が私の隣の席に座る。
そしてそのままバチッと目が合うから
それだけで、なにもかも惑わされてしまいそうだ。


