彼が玄関から出ていく姿を、何度も頭の中で再生した。 数秒経って、やっぱりアパートの下まで見送ろうと、古い今にも壊れそうなドアを乱暴に開けるけど。 もう蘭君の姿はそこにはなかった。 靴も履かないで裸足のまま階段を下りて、そこら辺の道をキョロキョロ見渡すけど。 やっぱり蘭君は幻で出来ているみたい。 こんなに早く居なくなるなんて 蘭君には名残惜しさとかないのかなー...? ううん、それでいい。 私の方が蘭君のこと好きなんだから、それでいいんだ。