「...やっぱり、残ってるな」
「......へっ?」
「傷跡」
真剣にそう呟かれて、拍子抜けした。
まったくイヤらしい事を考えてない蘭君に
私...何かされると思って変に緊張してたんだ。
あほだ、あほすぎる。
「らんくん...ごめん」
「あー...?ああ、自分の体は大切にしろよ」
「...」
そういう意味で謝ったんじゃないんだけど。
でも、心配されて嬉しい。
「...っと、もうこんな時間か」
つけていたテレビ画面に表示されている時間を見て、蘭君が立ち上がる。
蘭君と2人で居るってだけで、時間はあっという間に過ぎていく。
「...結局蘭君のマンション行けなかったー!」
「次があるだろ」
「...うん。」
「落ち込むなよ、めんどくせえ」
「だって蘭君。もう帰っちゃうんでしょ?
本当は...」
まだ一緒に居たいよ。


