察してほしいのはこっちの方だよ。

いつもそうやって簡単に私を夢中にさせるんだ。



それにしても、蘭君からそんな甘い言葉が出てくるなんて...


宇宙人に遭遇するくらい信じられないから、唇をキュッと噛んで
もうすぐ私の住むアパートに着きそうなのに離れたくない。




だから...



「もうちょっと一緒にいたい...」


「...お前のアパート、すぐそこだぜ?」


「荷物置いて、蘭君のマンション行きたい」


「...」


「...だめ?」


「...っ、」



首を傾げれば自然な上目遣いになる。


私達の横を通る通行人がチラチラと、学生なのにこんな昼間から何やってんだと文句言いた気な表情をしていた。



でもそんなの気にならないくらい
蘭君から目が離せない。



「...別に、いい...が」


「...!」


「お前、俺の女になったんだぞ?
前とは関係も雰囲気も何もかも変わってんだ。
手出すかもしれねーのに、簡単にマンションに行きたいとか言うな」



「別に...いいじゃん」


「よくねえ。」