珍しく家にいる母に「ただいま」の一言も言わず、玄関に脱ぎっぱなしの靴も揃えないで自分の部屋に直行。
制服のままベッドに倒れ込む。
その瞬間、涙がポロポロ溢れ出た。
もう...やだ、嫌い。
必要とされてると勘違いしていた自分が恥ずかしい。
蘭君が私に心を許したからと言って
好きだとは限らないんだ。
振られたくせに...なんで期待なんかしてたのよ、私。
「...バカ、忘れてやる」
簡単に忘れることなんか出来ないことくらい、知ってるよ。
でもね
あんな風に言われちゃ、誰だってムカつくし。
好きな人だからこそ余計...許せないんだ。
その日は一日中、部屋に閉じこもって溢れる涙を無差別に枕にぶつけてた。
お母さんが部屋を何度もノックしてたけど
無視して目を閉じていたらいつの間にか眠ってたみたい。
本当の意味での失恋って、こんなにも人を弱くさせるんだね...。


