蘭君が入院して、もう3日が経つ。


真っ白な病院のベッドで眠る蘭君は
もう目を覚まさないんじゃないかって思わせるくらい、肌が青白くなっていた。




「...蘭君は、重い病なんですか?」



親も誰も、身内の人が病院にやってこない。


すべて縁を切ったと、そう考えてもおかしくないくらいに。

蘭君の携帯の連絡先には身内の名前なんかどこにもないと、先生は言っていた。


だから...どんな状態なのか
付き添い人の私に、それを聞く権利はあった。




「...あの子は命に関わるような病気は患ってないよ...ただ、」


「ただ?」



資料だらけの机から、探るようにカルテを探して
それに真剣に目を通す先生は、メガネを掛け忘れていることに気づかないまま、口を開いた。




「重いストレスを抱えているみたいだ。」


「蘭君が...ストレスを?」


「ああ。
なにかトラウマになるような出来事を思い出したり、その瞬間一気にストレスが降り注いできたり...。
君はなにか知らないかい...?」


「いいえ...」


「そうか。
とりあえずは命に別状はないから...今日はもう帰りなさい。
...最近寝てないんだろ?目が充血している。」


「...」


「君まで倒れたら元も子もないだろ?」


「......蘭君が目を覚ましたら、連絡ください」


「わかった」


「ありがとうございます」