【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。





意外にも、連れてこられた場所は屋上。



若いくせに階段を上っただけで息が荒れてる私とは違って

どこまでも余裕そうな丸川さんは飛び降り防止のためのフェンスにもたれかかりながら口を開く。





「春ってさ...暖かいから、人を惑わすのが上手よね」


「...はい?」


何言われるか心構えしてたけど。


急に訳わかんないこと言い始める丸川さんだって、もう既に春の暖かさにやられてるじゃないか。



「春って、季節のことですよね?
そんな話するために、私に会いに来たんですか?」


「だから百目鬼さんのことだって言ってるじゃん」


「...意味わかんない」


「百目鬼さんは、本当にあんたに何も話してないんだ」



バカにするように笑う丸川さんに、数秒数秒嫉妬する。



この人は蘭君のなにを知ってるの?



蘭君から直接、この人に誰にも言えない秘密を言ったってこと?


蘭君の相談相手が丸川さん?



...ありえない。



だって蘭君、女の人とは体の関係しか持ってないって......。