「捨てたんじゃ...なかったんですか?」
「私が百目鬼さんのもの捨てるわけないじゃん。
バカなの?あんた」
「なっ...!?」
なんでこの人にそんな風に言われないといけないの!?
捨ててないなら、あの時返してくれてもよかったじゃん。
...まあでも、丸川さんも蘭君のこと好きなんだし
そりゃあ他の女が好きな人の物持ってたら面白くないもんね。
全然保護したくないけど、分からなくもない気持ちが私を頷かせる。
「あんた、ちょっと時間ある?」
校内は喫煙禁止なのに、横髪を耳に掛けながら平然とタバコを吸い始める丸川さんは堂々としてる。
悔しいけど...丸川さんのこと、綺麗だなあって思ってしまう自分がいる。
「これから授業、あるんで」
「...へぇー...せっかく百目鬼さんのこと、教えてあげようと思ったのに」
「蘭君の!?」
「時間、あるの?ないの?どっち」
「...」
そんなの、”ある”って言うしか、他にないじゃん。
いつまでも教室の前で喋ってるわけにもいかず
私は罠にはめられたように、どこまでも信用出来ない丸川さんの背中について行った。


