「...なにか用ですか?」
「久しぶりの再会なのに、冷たいじゃん」
そりゃあ、出来ることならこの先一生会いたくなかったもん。
「せっかく人があんたの大事な大事な”これ”、返しに来てやったのに」
風の噂で聞いた、丸川さんがキャバクラで働いてることは本当らしい。
お酒臭いし、伸びた爪にはギラギラのネイル。
住む世界が違うと見せつけるように、丸川さんは本物のダイヤモンドが点々と付いてるブランドもの鞄から、黒色のマフラーを取り出した。
それは間違いなく、私が蘭君から貰ったマフラーだった。
「それっ!!」
食いついて離さないように、マフラーを丸川さんから奪い返して睨む。
公園のゴミ箱に捨てたなんて嘘だったんだ...
マフラーから漂うはずの蘭君の匂いが、丸川さんの香水の匂いに変わっていた。


