「それにしても...簡単に倉庫に女を入れるなんて、あんまりよろしくねえな、歩夢」
見るからに高いと分かるオイルライターでシュボっと、タバコに火をつけて、鋭い目を歩夢さんに流した蘭君は、いつもとは雰囲気が全然違う。
いつも怖いけど
なんか...いつもより真剣な怖さっていうか...。
「んー...でも彩羽ちゃんは前にここに泊めたことあるし」
「あの時は仕方なかっただけだろ。
今は状況が違う。
こいつは紫蓮想の仲間でもなんでもない」
「...すみません、総長」
言い訳をしない歩夢さんは、床に膝をついて蘭君に謝る。
私には信じ難い光景だった。
いつもは歩夢さんの方が蘭君より1枚上手なのに。
あれは友達同士の会話だったんだ
だけど今は違う。
今は紫蓮想という族の中で起きてる会話なんだ。


