「それとも...蘭やめて、俺にしとく?」
そっと、駄菓子でいっぱいになった私の手に未知さんの手を添えられて。
不覚にも焦って立ち上がってしまったせいで、ーーーバラバラと駄菓子が床に落ちていく。
一体なんなのこの人...
うっすら気づいてはいたけど私、この人に...
「彩羽をからかうのもいい加減しろ、未知」
割って入ってきた声に、駄菓子を拾おうとした手がピタリと止まる。
ーーーカツン。と響いた靴音が、倉庫内に響いて。
赤くなった顔を横髪で隠しながら、覗くように振り返ると。
「らん...くん」
「なーんだ、もう帰ってきたの総長」
「歩夢から連絡があってな。
お前が彩羽にめんどくさい絡みをしていると」
「なにそれ、歩夢ちんひどい〜!」
タコみたいに唇を尖らす未知さん。
安堵の表情を浮かべて、ホッと一息吐きながら歩夢さんを見ると、スマホを片手にニコッと笑ってくれた。
...た、助かった。


