「ほら、立てよ」
汚れた手を触られて、咄嗟にーーーパシッと蘭君の手を払ってしまった。
不覚にも驚いた顔を見せる蘭君。
でも、不思議と謝ろうとは思わなかった。
だってまだ、マフラー見つかってないから、帰りたくないんだ。
「...なにがそんなに不満なんだ?」
違う、不満とかそんなんじゃない。
「お前が勝手に、俺の周りをうろちょろしてるだけだろ?」
「...っ...」
「それで今度は突き放すとか...。
飽きたから捨てられたオモチャか?俺は」
違う
違う
違う!!!!!!!!
あの日からずっと好きで
解けっぱなしの糸がやっと絡まり始めたのに。
その糸を繋いだ私自ら、蘭君から離れるなんてありえないし
この先も絶対無い。
でもヤなの...
手だってゴミ箱漁って汚れてるし
蘭君のことが好きだって、私のことが邪魔だって言う女の子が現れて...わたし、私。
どうしていいか分かんないくらい...頭の中、グッチャグチャなんだもん...。


