泣きながら探しても結局見つからなかった。
息を吐く度に出る白い息が、私の視界を汚す。
もうダメだ...
蘭君に合わせる顔がない。
ゴミ箱の前で地面に膝をつけて、数分自分の汚れた手を見つめていると。
「こんな所にいたのか...。帰るぞ」
後ろから聞こえてきた声に
泣きすぎて重りでもついてるんじゃないかってくらい重い瞼を大きく見開く。
ゆっくり後ろを振り返ると。
タバコを咥えている蘭君は、白い煙を空気に溶かして立っていた。
「...なんでここに...」
「お前の様子がおかしかったから...お前の家に様子見に行こうとしたが、そもそも俺お前の家知らねーし。」
「...」
「けどよ。お前が住んでる場所の近くを、適当にブラついてたら、お前の友達と名乗る奴が俺に話しかけてきて」
「...みつか」
「『彩羽が行方不明だから一緒に探してー!』って。
...なんで俺がお前の知り合いって分かったんだ?あいつ」
蘭君は覚えてないみたい。
あの日、カラオケ店で私たちを助けたくせに。
助けられたのは、私だけじゃない。
もう1人のお姫様がいた事を。
ーーー忘れてるみたい。


