指と指の間で挟んでいるタバコに口づけをして、フゥー...っと私の顔に煙を浴びせる丸川さん。
「ゲホッ...ゲホッ!!」
「タバコも吸ったことないお子様が。
なーんで百目鬼さんの隣に居られるのか、不思議でしょうがないわ」
「返して...」
「は?」
「マフラー...!!!!
私、マフラー取り返しに来ただけなの!!!!」
テーブルに置いてあるスイッチの入ったマイクが、私の声を拾って部屋中に響かせる。
なんにも知らないお子様な私は、何回カラオケという場所で騙されれば気が済むんだろう...。
あれ...なんだろう。
胸がざわざわっとして、なんだか嫌な予感が...。
「捨てた」
「ーーーえっ?」
ドックン、と。
呟くように小さくもそれは、確かに私の身体の奥から聞こえてきた。
「いま...なんて...」
「だから言ってるじゃない。
マフラー、捨てた」
「...言ってる意味が...」
「はあ?そのまんまだよ。
どっかの公園のゴミ箱に、捨てたつってんだよ!!」


