「...なにか、あったのか」
「えっ!?」
「手、震えてる」
「...あっ」
自分でも気づかないうちに確かに震えていた手は、きっと不安を隠しきれてない証拠だ。
でも、私にはどうしても行かなきゃいけない理由がある。
マフラーは...蘭君から貰ったマフラーだけは
絶対にあの人に渡してはいけないような気がして。
「大切な宝物だから...」
「あ?」
「...ううん、なんでもない。
私そろそろ行かなきゃ」
「どこに行くつもりだ。
...俺も一緒に行ってやろうか?」
「ううん、...大丈夫」
本当はついてきてほしい。
だって怖いもん。
だけど蘭君を連れてきたら、あの人、今度こそなにをするか分からないから。
...って、なんでこんな話が重くなってきてるの?
自分の恋が上手くいかないからって
初対面の私に八つ当たりしてきた丸川さんが悪いんじゃんかー!!
「女の恋愛って、ほんとヒステリックだよねー...」
「お前、今日本当にどうしたんだ?」
「蘭君は鈍感だから、なにも見えてないのよ、なにも。」
「...お前、最近生意気だよな?」
「蘭君がそうさせてんじゃん!!」
「どういう意味だ」
「そういうところが鈍感なのー!!...バカァ...」


