「...」
「...なくしたのか?」
「そんなわけ...っ!
違うよ!!ほんと大事に使ってるよ!!
だって...だって...」
「...?」
蘭君から貰ったマフラー...なんだよ?
大事にして当たり前。
そんな事、言われなくたって気づくのが男ってもんでしょ...
やっぱり鈍感な蘭君には気づいてもらえないと思うけど!
「私...そろそろ行かなきゃ」
「風邪、引くぞ」
「ーーーえっ?」
ーーーフワッとなにかが。首元を暖かさで煽って。
またこの感覚。
ドキドキと、心臓が痛くなる...この恋の甘酸っぱい感覚。
すぐ近くにいる蘭君が、私の髪の毛に触れて、そして。
自分の首に巻いていたはずのマフラーを、私に巻いてくれた。
「...これ...」
「歩夢のやつが、お前にあげたはずのマフラーを俺が巻いてたから
「きもいから返せ」って、顔に似合わない暴言吐いて取り上げやがった。」
「えっ!!?」
「...まあ俺も別に、あいつのマフラーなんか巻きたくて巻いてたわけじゃねーしな...」
言いながら、一歩下がって私から離れる蘭君の鼻は、寒さに耐え切れず赤くなっていた。
このマフラー...私にくれたマフラーと同じの...
真っ黒で、フカフカで、そして...暖かい。


