教師が駆けつけてきたのが、めんどうだと思ったのか
馬乗りしていた彼女が、床に叩きつけるように私から離れた。
その時。
「あっ...!」
ずっと巻いていた蘭君から貰ったマフラーが
ーーーシュルっと。
彼女の手によって、絡まった糸を解くように奪われた。
彼女は逃げる前に、ドアの前で立ち止まり。
「知ってるよ...これ百目鬼さんのマフラーでしょ」
「...っ!?」
「全部見てっから。
アンタが百目鬼さんと話してるとこ、ぜーんぶね」
...全部見られてたなんて、一体いつからどこからどこまで...?
この人やっぱどこかおかしい。
「これは預かっとく。
...返して欲しかったら今日の放課後、×××ってとこにあるカラオケ店に来なよ」
そう言って、彼女は私のマフラーを片手に空き教室から飛び出した。
「大丈夫か?」
先生に差し出された手を握って、立ち上がる。
「あっ、はい...。
あの、先生あの人って...」
「ああ。
3年の丸川梓奈(まるかわ・あずな)だ。
しょっちゅう問題を起こす、問題児だな」
「...まるかわ...あずなさん」
「知り合いじゃないのか?」
「いえ、...まったく」
「あいつは3年のくせに未だに進路も決まってない、先生泣かせの生徒だ。そろそろ卒業だっていうのに...。
...めんどうな奴に目をつけられたな。」
「.........はい。」


