【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。






一段一段、階段を上る蘭君が私の方に近づいてきた。



息も止まりそうな思いで蘭君だけを見つめていたら。



私の肩に蘭君の肩がーーートンっと、軽く触れた。



だけど彼は足を止めずに、刹那を残したまま私の横を通り過ぎていく。




痛かった。


蘭君を求めて勇気を出してここまで来たのに。


簡単に存在を無視されるんだもん。


多分この事を予想してたのかな?歩夢さん。


蘭君が私のことを無視するって分かっていたから。

蘭君が無視出来ないような話題を出せるように、私に写真を持たせたのかも。



「蘭君...いいの?そんな態度で。
私、蘭君の昔の写真持ってるんだよ...?」


「ーーーッ!?」



ポケットから写真を出して、片手でヒラヒラと。
蘭君に見せつけるように写真を持つ。




悪役みたいな台詞に、自分でも笑ってしまう。




無表情で、いつも何考えてるか分からない蘭君も
これには平常心ではいられないみたい。



勢いよく振り返って、すごい力で私から写真を取り上げた。