ふと蘭君が振り返ってすぐに私の存在に気づいたのか、階段を駆け上がろうとしたその足を止める。 夕日で逆光してるせいで蘭君の表情が見えない。 怖い... 怖い...でも。 「蘭くん...っ」 今、関係を繋いでおかないと、本当にすべてが終わってしまう。 歩夢さんにせっかく蘭君に会う機会をもらったんだ。 無駄にしたくない。 「...なんでお前がここに居る」 ひさしぶりに聞いた蘭君の声は、それはそれは色っぽくて。 夕日なんか目じゃない。 私の目は彼にだけ集中する。