【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。




*



「ねえ彩羽、もういい加減諦めちゃえば?」



冬の屋上で寒さも気にせずお弁当を食べていたら、突然私の気持ちを簡単に口にする光花。



「諦めるって...そんな簡単に言わないでよ...」



少し不機嫌になりながら
箸で器用に取ったトマトが、口の中で潰れてじわじわと。舌に味を染み込ませる。




「だってあんた、そんな調子でずっと居続ける気?
いい加減にしなよ。俯いてばっかで話にもなんないし」


「だって...」


「あの男と何があったかなんて、私には関係ないことだけど。
あんたがそんな調子だと、こっちまで暗くなっちゃうんだからねっ!!」


「...みつか...」


「諦められないなら...前に進むしかないでしょ?」


「......」


光花に真剣な眼差しで見つめられ、ハッと我に返った。


光花の言う通り


あれから3ヶ月も経ってるのに、私ってばウジウジしてるだけで、なにも行動に起こさないんだから。



そりゃあ光花が怒ってもしょうがないと思う。




「ねえ光花...」


「なに?」


「もし、もしも。
私が蘭君になにかひどいこと言われたら、慰めてくれる...?」




口から箸を離して、弱気なことを言ってみたら。



光花は私の首に腕を回し、二カッと綺麗な歯を見せて、笑ってくれた。




「あったりまえでしょー!
慰めるのが親友の役目なんだからーっ」


「ふふっ...ありがとう」


「今まであんたが暗かったせいで、こっちまでテンションダダ下がりだったんだから。
お詫びにその唐揚げちょうだいよ」


「えーっ!?それとこれとは別だよー!!」


「うるさい!もーらい!!」


「もおー!!光花ったら〜!!」