【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。






そんなこんなで1週間が経った。



この1週間、蘭君からどんな嫌がらせを受けるんだろう...って、ずっとヒヤヒヤしてたけど。



お世話1日目以外は、そんなにひどい事されてない。



強いて言うなら、昨日私の大好きな唐揚げを夕飯に出したら

蘭君のバカ、私のお皿から私の分の唐揚げを全部奪っちゃうんだもん...。



アレはほんとにひどいと思った...


けど。


あれ以外、特になにもされてない。



嫌がらせするの1日で飽きたのかな?






*




「...あっ、蘭君」




夏の夜は家の中に居ても、どこか懐かしい不思議な匂いが外からやってくる。



食器洗いを済ませて、洗剤と水で濡れた手が荒れないようにタオルで拭いていたら。



お風呂から出てきた蘭君が、テーブルに置いてある財布を取って、玄関の方に足を進める。





夏だからって黒色のTシャツに黒色のスリムパンツという油断した格好で外に出ようとする蘭君。



お風呂から上がったばっかりなのに...これじゃあ風邪ひいちゃうよ。



「どっか出掛けるの?」


「...コンビニ、アイス買いに」


「えっ!?...蘭君って甘いもの食べられるんだっ」


「...悪いか?」


「いや、意外だなー!って。
でも、コンビニに行くなら髪の毛乾かしてから行った方がいいんじゃないかな...?
夏風邪ひいちゃうよ?」


「別にいい」


「えーっ!そんなの駄目だよ〜。
ただでさえ腕怪我してるんだから、心配事増やさないでよ」


「お前が心配しなきゃいい話だろ」


「...(冷たい)」