「てっきりシアンは独身を貫くかと思っていたよ。それにしても、夜会嫌いのシアンが婚約者を連れて夜会に出席するなんて明日は雪でも降りそうだ」
そう言って明るく笑うヘンディーに、シアンは「きみは本当に変わりませんね」とまた一つ溜め息を吐いて説明した。
「アメリア嬢がこの夜会に招待されたので、仕方なくです」
「ふうん、なるほど。ミア嬢か」
少ない情報でも全てを察したらしいヘンディーは顎を触りながら「お前も大変だな」と憂いた笑みを浮かべた。
「いや、大変なのはアメリア嬢か」
シアンは黙っていたが、それは肯定と同じ意味だった。それを見抜いたヘンディーは「それはお前も黙っているわけにいかないな」と続けて言った。
「まあ、何もなく終わるといいのですが」
シアンの言葉に、ヘンディーは「へえ、本当にそう思うのか?」と意味深な表情を浮かべる。
「お前にあれほどご執心なミア嬢が、お前の婚約者を夜会に招待したんだぞ。加えてミア嬢のあの性格だ、何もなく終わるわけがないだろう」
真剣なヘンディーの表情に、アメリアは目を見開いた。
何事もない、とは思っていなかったが、まさかヘンディーにまではっきりと言われるとは。
本当に何が起こるか分からない。次の瞬間にも矢が飛んでくるかも、と思っていると、シアンは「ヘンディーの言うとおりだ」ときっぱり言った。
「そう思ったからここに来たのです」
その言葉にヘンディーは目を見開いた。それからふっと笑って「相変わらず頭の切れるやつだ」とひとりごちた。
「お前はあの高名な"青藍の騎士"。心配することはないだろうが、うまくいくことを願うよ」
「夜会を楽しんで」とヘンディーは言い残すと片手を振りながらその場を後にした。
残されたシアンとアメリアには嵐が過ぎ去ったような静寂が訪れていた。
そう言って明るく笑うヘンディーに、シアンは「きみは本当に変わりませんね」とまた一つ溜め息を吐いて説明した。
「アメリア嬢がこの夜会に招待されたので、仕方なくです」
「ふうん、なるほど。ミア嬢か」
少ない情報でも全てを察したらしいヘンディーは顎を触りながら「お前も大変だな」と憂いた笑みを浮かべた。
「いや、大変なのはアメリア嬢か」
シアンは黙っていたが、それは肯定と同じ意味だった。それを見抜いたヘンディーは「それはお前も黙っているわけにいかないな」と続けて言った。
「まあ、何もなく終わるといいのですが」
シアンの言葉に、ヘンディーは「へえ、本当にそう思うのか?」と意味深な表情を浮かべる。
「お前にあれほどご執心なミア嬢が、お前の婚約者を夜会に招待したんだぞ。加えてミア嬢のあの性格だ、何もなく終わるわけがないだろう」
真剣なヘンディーの表情に、アメリアは目を見開いた。
何事もない、とは思っていなかったが、まさかヘンディーにまではっきりと言われるとは。
本当に何が起こるか分からない。次の瞬間にも矢が飛んでくるかも、と思っていると、シアンは「ヘンディーの言うとおりだ」ときっぱり言った。
「そう思ったからここに来たのです」
その言葉にヘンディーは目を見開いた。それからふっと笑って「相変わらず頭の切れるやつだ」とひとりごちた。
「お前はあの高名な"青藍の騎士"。心配することはないだろうが、うまくいくことを願うよ」
「夜会を楽しんで」とヘンディーは言い残すと片手を振りながらその場を後にした。
残されたシアンとアメリアには嵐が過ぎ去ったような静寂が訪れていた。


