会場に入ると、そこにはアメリアが未だかつて見たことのないような豪華絢爛の世界が広がっていた。
赤を基調とした壁に、輝く金の精巧な模様が随所に施された豪華な内装には、クリスタルの特大シャンデリアがよく映えている。
あちらこちらに飾られている色とりどりの花々も霞むほどのきらびやかな空間に、アメリアは思わず声が溢れそうになったが、口元に手を当てて抑え込む。
呆然と立ちすくむアメリアに気づいたシアンは「これくらいのことで、みっともないですね」と眉をひそめるが、それでもアメリアは目の前に広がる世界に圧倒されてしまった。
「…相変わらずの悪趣味な」
シアンはアメリアにしか聞こえないような小さな声でまたひとつ毒を吐く。
老若男女を虜にするあの爽やかな笑顔のまま、口から発せられる言葉は刺がある。
自らの財を見せつけるような豪華絢爛なものばかりのこの空間がいかにも貴族らしく、シアンは心底嫌悪しているようだった。
「心の声が漏れていますよ」
「他に聞こえなければ問題ありません」
この広い会場でシアンの朗らかな外面の笑顔に騙されていないのはアメリアだけだった。
他の人々はシアンの顔を見つけては挨拶をし、若いご令嬢方は頬を赤く染めている。
「シアンじゃないか!」
皆がシアン様、と呼ぶ中で一人だけ違う呼び方をする男性がいた。
片手を上げてとても親しそうに声をかけてきた彼を見つけたシアンは「ヘンディーですか」といつもと同じ表情でその名前を呼んだ。
赤を基調とした壁に、輝く金の精巧な模様が随所に施された豪華な内装には、クリスタルの特大シャンデリアがよく映えている。
あちらこちらに飾られている色とりどりの花々も霞むほどのきらびやかな空間に、アメリアは思わず声が溢れそうになったが、口元に手を当てて抑え込む。
呆然と立ちすくむアメリアに気づいたシアンは「これくらいのことで、みっともないですね」と眉をひそめるが、それでもアメリアは目の前に広がる世界に圧倒されてしまった。
「…相変わらずの悪趣味な」
シアンはアメリアにしか聞こえないような小さな声でまたひとつ毒を吐く。
老若男女を虜にするあの爽やかな笑顔のまま、口から発せられる言葉は刺がある。
自らの財を見せつけるような豪華絢爛なものばかりのこの空間がいかにも貴族らしく、シアンは心底嫌悪しているようだった。
「心の声が漏れていますよ」
「他に聞こえなければ問題ありません」
この広い会場でシアンの朗らかな外面の笑顔に騙されていないのはアメリアだけだった。
他の人々はシアンの顔を見つけては挨拶をし、若いご令嬢方は頬を赤く染めている。
「シアンじゃないか!」
皆がシアン様、と呼ぶ中で一人だけ違う呼び方をする男性がいた。
片手を上げてとても親しそうに声をかけてきた彼を見つけたシアンは「ヘンディーですか」といつもと同じ表情でその名前を呼んだ。


