馬車を降りると真っ先にミアの声が響いた。
キンと頭に響くような、特徴的な声だ。
そちらに目を向けると、ミアは強烈な赤色のドレスを身に纏っていた。フリルがふんだんに盛り込まれ、キラキラと宝石が輝いている。
沢山の招待客の中に混ざっていてもすぐに分かる、とても目立つ鮮やかで華やかなドレスだ。
「…ミア」
さっきまでの青藍の騎士とは全く違う、伯爵家のシアンとして挨拶をする。
体裁を繕ってか、完璧なまでの微笑みを浮かべて朗らかに挨拶をするシアンに思わず笑いそうになってしまう。ここまで完璧なつくり笑顔を作ることができる人物がいるなんて。
その豹変ぶりにアメリアは苦笑いをしてしまい、すぐにシアンから肘鉄を食らった。
う、と声を出さずにアメリアが悶える一方で、シアンはにこやかな笑顔をミアに向ける。
「今日は無理を言って招待していただき、ありがとうございます」
「いえ、シアン様が来てくださるというのならいつでも歓迎いたしますわ」
至極嬉しそうな表情をするミアの言葉はお世辞ではなく、きっと心からのものだろう。
しかしアーノルドの後ろにいるセレナを見つけたミアはその表情を一変した。
「シアン様、そちらの方は…」
アメリアはドレスの裾を持つと、恭しくお辞儀をした。
「アメリア・ミルフォードにございます」
鋭い視線が矢のように降り注ぐ中、アメリアはできる限りの上品な挨拶をして見せた。ビスに叩き込まれた挨拶の仕方だ。
「先日は挨拶できず申し訳ありませんでした。本日はお招きいただきましてありがとうございます」
アメリアは微笑んで見せるが、ミアは険しい表情をしていた。
見定めるように目を細めてアメリアを見つめている。
おそらくアメリアがシアンのそばにいるという事実が相当気に入らないのだろう。
キンと頭に響くような、特徴的な声だ。
そちらに目を向けると、ミアは強烈な赤色のドレスを身に纏っていた。フリルがふんだんに盛り込まれ、キラキラと宝石が輝いている。
沢山の招待客の中に混ざっていてもすぐに分かる、とても目立つ鮮やかで華やかなドレスだ。
「…ミア」
さっきまでの青藍の騎士とは全く違う、伯爵家のシアンとして挨拶をする。
体裁を繕ってか、完璧なまでの微笑みを浮かべて朗らかに挨拶をするシアンに思わず笑いそうになってしまう。ここまで完璧なつくり笑顔を作ることができる人物がいるなんて。
その豹変ぶりにアメリアは苦笑いをしてしまい、すぐにシアンから肘鉄を食らった。
う、と声を出さずにアメリアが悶える一方で、シアンはにこやかな笑顔をミアに向ける。
「今日は無理を言って招待していただき、ありがとうございます」
「いえ、シアン様が来てくださるというのならいつでも歓迎いたしますわ」
至極嬉しそうな表情をするミアの言葉はお世辞ではなく、きっと心からのものだろう。
しかしアーノルドの後ろにいるセレナを見つけたミアはその表情を一変した。
「シアン様、そちらの方は…」
アメリアはドレスの裾を持つと、恭しくお辞儀をした。
「アメリア・ミルフォードにございます」
鋭い視線が矢のように降り注ぐ中、アメリアはできる限りの上品な挨拶をして見せた。ビスに叩き込まれた挨拶の仕方だ。
「先日は挨拶できず申し訳ありませんでした。本日はお招きいただきましてありがとうございます」
アメリアは微笑んで見せるが、ミアは険しい表情をしていた。
見定めるように目を細めてアメリアを見つめている。
おそらくアメリアがシアンのそばにいるという事実が相当気に入らないのだろう。


