世間知らずのお嬢様と罵られた怒りよりも、一緒に見回りに行くように言われた驚きが上回り声も出ない。
アメリアが呆然とする中、レオナルドは愉快だと言わんばかりに「そいつは前代未聞だなァ」と茶化した。
「見回りの付き添いなんて、今までの団長室担当にさせたことねェだろ? デートじゃあるまいし、お前はアメリア嬢を秘書にでもするつもりなのか?」
ニヤニヤと笑うレオナルドに溜め息を吐いたシアンは、「その顔やめてください」と心底嫌そうな顔をした。
「今までの担当は、見回りに付き添わなくても十分に物事をよく知っていました。その点、彼女は致命的に世間知らず。貴族の令嬢は箱入り娘ばかりで使い物になりませんから」
「そんなお嬢様を使い物になるように鍛え上げるってか。そんな非合理的なことをお前が実行するなんてな」
レオナルドの言うとおりだった。今までのシアンは、新入りは先輩に指導させる形をとっていた。それでも使い物にならないものは担当を変え、力を発揮できる部署に動かしていたのだ。
ただでさえ仕事量が多いシアンにとって、騎士はともかく裏方として働く者まで指導するというのは負担でしかない。
それなのにシアン自らアメリアに指導するということは今までにないことで、シアンのことを知る者にとっては興味深い出来事なのだ。
アメリアが呆然とする中、レオナルドは愉快だと言わんばかりに「そいつは前代未聞だなァ」と茶化した。
「見回りの付き添いなんて、今までの団長室担当にさせたことねェだろ? デートじゃあるまいし、お前はアメリア嬢を秘書にでもするつもりなのか?」
ニヤニヤと笑うレオナルドに溜め息を吐いたシアンは、「その顔やめてください」と心底嫌そうな顔をした。
「今までの担当は、見回りに付き添わなくても十分に物事をよく知っていました。その点、彼女は致命的に世間知らず。貴族の令嬢は箱入り娘ばかりで使い物になりませんから」
「そんなお嬢様を使い物になるように鍛え上げるってか。そんな非合理的なことをお前が実行するなんてな」
レオナルドの言うとおりだった。今までのシアンは、新入りは先輩に指導させる形をとっていた。それでも使い物にならないものは担当を変え、力を発揮できる部署に動かしていたのだ。
ただでさえ仕事量が多いシアンにとって、騎士はともかく裏方として働く者まで指導するというのは負担でしかない。
それなのにシアン自らアメリアに指導するということは今までにないことで、シアンのことを知る者にとっては興味深い出来事なのだ。