それは先日会った、シアンの付き人のものだった。

基地の中から現れたらその男は、日に焼けた褐色の肌に青色の瞳を持ち、体つきはがっしりとしていて高身長。

快活な雰囲気を身に纏っており、非情に強力な戦士なのだろうとアメリアは思った。

細身で色白のシアンとは何もかもが正反対のように思えるが、羽織る空色の外套はシアンと同じものだった。


「先日は挨拶もせずに申し訳ない。私は青の騎士団・副団長のレオナルドです」


「アメリア・ミルフォードです。先日はどうも」


恭しく挨拶を交わす二人に、守衛は目を丸くして呆然と立ち尽くしていた。


「ふ、副団長!その娘をご存知なのですか?」


アメリアに向けられた守衛の指先は震えている。

なぜ震えているのかアメリアには分からなかったが、その顔は引きつっていた。


「知っているも何も、あの団長に会いに来られたご客人だ。お前もそう聞いていたはずだろうが」


眉間に深いしわを寄せてレオナルドは守衛を睨みつける。


「まさか、聞いていなかった…なんて言うんじゃあねェよなァ、エディ?」

「ヒィッ!」


詰め寄るレオナルドの迫力に、守衛のエディの顔は恐怖に変わっていく。


「しかもこのお嬢さんは団長が招かれた大切なお方。俺ァ、見てたぞ、エディ?お前がこのお嬢さんに無礼な態度を取るところを。これを知ったら、団長はさぞお怒りになられることだろうなァ…?」


にたりとレオナルドは不気味に笑う。団長の言葉を聞いたエディは目を見開いて叫んだ。