言葉にした途端、恐怖が体を包む。
否定したいのに、否定できる情報が何もない。
(シアン様、副団長…)
脳裏に浮かんでくるのは、大切な人達の顔ばかりだ。
思わず泣きそうになるのを必死にこらえて、考え続ける。
(ここが船の中だとして、私が売られるかもしれないのなら、必ずここから出られる時がくる。)
縋るように信じて、心を保つ。
しばらくすると微かに人の声が聞こえてきた。
「……なに、娘?」
「ええ、騎士団と一緒にいた娘なんです」
その会話にアメリアは目を見開いた。
一人はあのフードの男で、どうやらアメリアのことを別の男に報告しているらしい。
自分のことを話されているのだと思うと冷や汗が止まらない。
「それは確かだろうな。どういう関係だ?」
「さあ、そこまでは…」
「まあ、直接聞けば分かるか」
レオナルドや他の団員と行動を共にしていたところを見られていたらしい。
どうやらあの男に大分前から後をつけられていたようだ。
それに直接聞けば分かる、と男は言った。何を聞かれるか分からないが、何と答えれば騎士団に迷惑をかけなくて済むだろう。アメリアは必死に考えるが、不安と緊張でなかなか考え至らない。
そんな中、扉は突然開いた。
入ってきたのはあのフードの男と、国の役人が着るような高貴な服を身にまとう男性だった。
「なんだ、起きてたのか」
フードの男は被っていたフードを取りながら舌打ちをする。
露になった顔にアメリアは目を見開いた。
アメリアはこの男を知っていた。
否定したいのに、否定できる情報が何もない。
(シアン様、副団長…)
脳裏に浮かんでくるのは、大切な人達の顔ばかりだ。
思わず泣きそうになるのを必死にこらえて、考え続ける。
(ここが船の中だとして、私が売られるかもしれないのなら、必ずここから出られる時がくる。)
縋るように信じて、心を保つ。
しばらくすると微かに人の声が聞こえてきた。
「……なに、娘?」
「ええ、騎士団と一緒にいた娘なんです」
その会話にアメリアは目を見開いた。
一人はあのフードの男で、どうやらアメリアのことを別の男に報告しているらしい。
自分のことを話されているのだと思うと冷や汗が止まらない。
「それは確かだろうな。どういう関係だ?」
「さあ、そこまでは…」
「まあ、直接聞けば分かるか」
レオナルドや他の団員と行動を共にしていたところを見られていたらしい。
どうやらあの男に大分前から後をつけられていたようだ。
それに直接聞けば分かる、と男は言った。何を聞かれるか分からないが、何と答えれば騎士団に迷惑をかけなくて済むだろう。アメリアは必死に考えるが、不安と緊張でなかなか考え至らない。
そんな中、扉は突然開いた。
入ってきたのはあのフードの男と、国の役人が着るような高貴な服を身にまとう男性だった。
「なんだ、起きてたのか」
フードの男は被っていたフードを取りながら舌打ちをする。
露になった顔にアメリアは目を見開いた。
アメリアはこの男を知っていた。


