騎士団長のお気に召すまま

「また何か分かったことがあったら基地まで知らせてくれ。どんな小さなことでも構わないから」

「ああ、そうするよ」


アメリア達は店主に一礼するとその場を後にした。

人気の少ない路地に移動しながらアメリアは前を歩くレオナルドに話しかける。

「…あまり大きな情報はなかなか入ってきませんね」

やはり情報源は海上にしかなく、得ようとするなら海に出なければならないかもしれない。

しかしレオナルドは「そんなこともないぞ」と笑みを浮かべる。それは引きつっているようにも思えた。


「造船が盛んではないフォルストで貨物船よりでかい船は、十中八九国の船だ。ってことは、フォルスト国王の意志でこの国の貨物船を邪魔しているってこと。確証の高い情報だ」


それからレオナルドは先ほどの手帳を取り出すと、店主の話を書いた頁を切り取って団員の一人に渡した。


「これをすぐに団長に届けるようマリル基地の伝令役に頼んでこい」

「は!」


受け取った団員は敬礼をすると走っていってしまった。


「さて、また情報を集めるぞ。残ったのは、俺を含めて四人か。それなら二手に分かれよう。確証の高い情報を集め次第すぐにマリル基地に戻り、伝令役に伝えるように」

「はい!」

レオナルドとアメリア、その他の団員に分かれて再び調査は始まった。

「どこに行きましょうか」

「そうだな、商人達への調査はあいつらがするだろうから、俺達はそうじゃないところを探そうか」

それは、マリルの民家を調べるということだった。

市場には商人がいるが、商売をしない漁師達は民家に戻っていることも多い。そこを調査しようというのだ。