騎士団長のお気に召すまま

「マリル基地も全力で協力します」

「そりゃ心強いや」

「お気をつけて」

「基地長もな」


それからアメリアはレオナルド達数名と共に港へと向かった。

港町は以前シアンと共に訪れた時と変わりはないように思えた。

港近くの市場には大勢の人が押し寄せて、露店の店先には採れたて新鮮な魚介が並んでいる。

しかしやはり以前と違うところもあった。

市場には魚介の他にもマリルで育った野菜の他にも輸入したての異国の商品を扱うお店も並んでいる。その扱うものは様々で、花や本、髪飾りや文具、更には食器や武器に至るまでありとあらゆる物があるのだが、異国の商品を取り扱う店の品揃えが明らかに少なかった。

異国の食器を取り扱っている店主に伺えば、商品が入ってこないのだという。


「いつもなら毎日のように商品が届くのに、つい一週間前からぱったりと届かなくなった。船が来ねえんだ。商売あがったりだよ」


商人にとって商品が仕入れられないというのは死活問題だ。

この状況が長引けば、店をやめなければならない人も出てくるだろう。

対策は急がねばならない。

事態は思っていたよりも深刻だった。

それを思ったのはアメリアだけではなかった。レオナルドも同じことを思ったのだろう、渋い顔をしていた。


「なんで船が来ないか分かるか?」

レオナルドの問に店主は肩をすくめる。

「そんなの知るわけねえだろ、お前さん達にだって分かんねえのに。オレ達の方が教えてほしいくらいだよ」

それはそうだろうとアメリアは思った。

けれどレオナルドは引き下がらなかった。