「5,003かける」

「じゃあ、3,412で」

メモ帳に数字を書きながら言うと、小野寺くんもノートに数字を書きながら「おっけ」と言った。

その直後に発した「開始」の声と同時に電卓を叩き始める。

間もなく、2人同時に「はいっ」と声を出した。

「17,070,236」

「くっ……お主、暗算のくせに強いな」

「お褒めに与り光栄です」

「わたしも電卓得意系女子として暗算野郎には負けられないのう……。ああ、無駄話はここまでとして、次へ行こう」

「おう。どうすっか……7,000……7,321かける」

「じゃあ……4,832で」

「了解」

「開始」

やはり、「はい」と声を出すのはほぼ同時だった。

「35,375,072」

「すごいな暗算野郎」

「電卓得意系女子こそ」

「はい次」

「じゃあ10,000、15,300かける」

「万? 桁を増やすとはお主、よほど自信があるようじゃな?」

それならこっちだって、と、計算が狂ってきそうな「99,999」を提案した。