わたしと専務のナイショの話

 


「まあ、また来なさい」
と父に言われ、

「はい、では、失礼します」
と深々と頭を下げ、京平は玄関を出る。

 ……お疲れ様です、と思ったのぞみは外まで送って出ることにした。

 一歩出た京平は言う。

「今日は、お前を迎えに来ただけのつもりだったから、お前とお母さんにお菓子を持ってきただけだったが」

 ――そういや、珈琲、私が奢る話でしたね、これ。

「次回は、お父さんにお酒を持ってこよう」

 まだ青ざめている京平に笑い、のぞみは言った。

「専務にも怖いものあったんですね」

「当たり前だ。
 お前のような娘を此処まで大事に育ててくださった親御さんだぞ。

 ちゃんとしないとと思うと、緊張するだろ」

 だからその、お前のようなはどういう意味でおっしゃってるんでしょうか……と思っていたが、

「お父さんが本当にお前を大切に思っていることがよく伝わってきたよ」
と言われて、父の愛情を感じ、ほろっと来そうになった。