わたしと専務のナイショの話

 真っ白なラグの上に正座していた京平はこちらに膝を向け、
「俺の計画だと、ご両親に挨拶する前に、キスのひとつもしておくはずだったんだが」
と言ってくる。

 いや、だから、その妙な計画通りに動こうとするのはやめてください、と思っていると、京平は膝で立ち上がり、のぞみの顎に手をかけてくる。

「ちょ、ちょっとやめてくださいっ。
 下に家族が居ますしっ」
と身をよじって、その手を振りほどこうとしたのだが、京平は、

「いや、助けを呼んでも無駄だ。
 お前の家族はお前を助けには来ない」
と貴様は何処の悪党だ、と問いたくなるようなことを言ってくる。

「お前が悲鳴を上げても、きっとお母さんは来ない。

 なにせ、お母さん自ら、お前と俺を此処で二人きりにし、ドアを閉めていったんだからな。

 俺のやりたい放題にしてもいいと言うことだろう」

 ち、違うと思いますよ……と青ざめるのぞみの抵抗しようとした手を握って抑え、京平は言ってくる。

「もう観念しろ。
 行くぞ」

 行くぞってなんだ……?