わたしと専務のナイショの話

 



「美味しそうなエビフライですね」

 そんな風に京平に褒められた浅子は、更にエビフライを揚げ、ご飯を盛り。

 なんとなく自然に、京平ものぞみと並んでご飯を食べていた。

 京平が今は、のぞみの勤めている会社で専務をやっていると聞いた浅子は、そうなんですか、と頷き、言った。

「先生、ご実家に戻られて、専務さんに。
 いい先生だったのに、なんでまた」

 なんでまた、の答えを京平は微笑んで語らない。

 語りたくないなにかがあるんだな……、とのぞみは思った。

 たぶん、この間の樫山とのやりとりみたいな負けず嫌いが発動して、今、専務として、此処に居るのだろう。

 食事が終わる頃には、のぞみの学生時代の話になっていた。

「いやー、坂下は遅刻が多くてねー。
 電車でも滅多に見かけませんでしたね」

 そういえば、同じ電車だったな……。

 のぞみは自転車と電車で学校に通っていたのだ。

 なにか嫌な展開になりそうだ、と身構えながら、のぞみは千切りのキャベツを齧っていた。