わたしと専務のナイショの話

 思わず、扉を開けかけた手を止めると、
「今日は何時まで大丈夫だ?」
と言ってきた。

「え」

「お前、門限はあるのか?」

「い、いえ、高校生ではないので」

「そうか。
 でも、実家だから、あんまり遅い時間は無理だろうな」

 俺もお前の親御さんに、印象悪くしたくないし、と京平は言う。

「今日、なにも用がないようなら、家に帰って待ってろ。
 終わったら、連絡する」

「で――」

 でも、と言いかけたが、京平は仕事中と変わらぬ冷ややかな目線になり、

「珈琲奢ってくれるって言ったろう?」
と痛いところを突いてくる。

「わ、わかりました」
とのぞみは頭を下げた。

「で、では」

 今度こそ――

「失礼しますっ」
と扉を開けると、外に祐人が居た。

「あ、おっ、お疲れ様でーすっ」