わたしと専務のナイショの話

 ピンクの車が視界から消える。

 ちゃんと家まで着くだろうか。

 それなり運転も上手いし、毎日、マイカー通勤していることもわかっているのに。

 高校のときのイメージが抜けないのか。

 のぞみが運転しているというだけで、ハラハラしてしまう。

 家まで後ろを付いていきたいと思ってしまったが、それでは、ストーカーか心配性の親兄弟みたいだと気づき、京平は、ぐっと堪えた。

 ……うん。
 まあ、とりあえず、今度また、なにか美味いものでも奢ってやろう。

 美味しいですよねっ、と言いながら、笑うのぞみの顔を思い返しながら、つい、自分も笑っていた。

 何処がいいかな。

 こっち帰ってきてから忙しくて、仕事関係で使う店くらいしか知らないからな。

 京平はスマホを手に取り、電話をかけた。

『はい、もしもし?』
とすぐに相手が出る。

 自分からかかったことに、ちょっと訝しげだった。