わたしと専務のナイショの話

 いやいや。
 この店、玉子が美味しいんだよな。

 厚みのあるどっしりとした玉子焼きは、ほんのり上品に甘くて、のぞみの好みだ。

 いやいやいやっ。
 でも、やっぱり、サーモンッ! と思ったとき、のぞみが狙っていたサーモンを横から取った奴が居た。

 京平だ。

 ああっ、文句言ってたくせにっ、とおのれが食べようと思っていた皿を取られ、他にもサーモンは回っているのに、思わず、すごい形相で見てしまう。

 っていうか、本格的な寿司屋に行きたいとか言ってたくせに、何故、そういう店にはないサーモン!

 珍しいからか? と思いながら、見ていると、小さな寿司を一口で食べた京平は、
「美味いじゃないかっ」
と叫び出す。

「ネタは小ぶりだが、美味しいなっ」

 でしょう~? とのぞみは勝ち誇る。

「此処、回転寿司のわりにあんまり安くないけど、美味しいんですよ」
とまるで自分の店のようにのぞみは自慢した。