「回転してなくてよかったんだぞ」
美味しそうなネタが回るレーンを前に、京平はまだそんなことを言っていた。
此処はもともとは普通のお寿司屋さんだったところが、回転寿司になったところだ。
寿司を握る板前さんたちの周りをレーンが回っているだけの小さな店だった。
「だって、専務が奢るって言うから。
高いと悪いかなーと思いまして。
思い出したんです。
あのチョコ、確か七百円でした」
と言うと、
「じゃあ、割り勘でいいから、普通の寿司屋に行こう」
と往生際悪く、京平は言ってくる。
……いや、なんかそれ、本末転倒ですよ、と思いながら、のぞみはレーンで回る寿司を見ていた。
うーむ。
なにから行くかな。
こういうところは、食べる順番がどうのとうるさいこと言わないから、いきなり、うなぎから攻めていってもいいか。
のぞみは、見ているだけで、鼻先に香ばしい香りが漂ってきそうなふっくらとしたうなぎののった皿を見る。



