わたしと専務のナイショの話

 よく覚えてしましたね、そんなこと、と思っていると、京平は言う。

「お前が可愛らしく、えへ、とか言いながら借りてたから、なにを読んでるんだろうなと思って、表紙をチラと見てみたら――」

「待ってください。
 私、えへとか言ってませんが……」

 貴方の頭の中の私はどんな感じなんですか。

 可愛らしいような、ずいぶんとマヌケなような、と思っていると、京平は、

「そんな可愛らしい感じに借りていたのに、お前の借りていた本は、いつも、

『○○○殺人事件』

『××村殺人事件』

『△△唄殺人事件』!」

 全部殺人事件だった! と叫び出す。

 いやそれ、単に、ミステリーのシリーズ物ですよねー……と心の中で言い訳したとき、やけに珈琲のいい香りがし始めたので気がついた。

 なんとなく京平のあとをついて歩いてきたが、このままだとカフェに出てしまう。

 駐車場とは逆方向だ。