「す、すみません。
お待たせしました」
息を切らし、急ぎ足で京平の許に戻ったのぞみは不機嫌な京平に、
「お前、なんで今、下から来た?」
と問われた。
「え?
だって、一度、御堂さんと駐車場まで行ったんですよ。
もう下りたり、上がったりで大変でした」
と笑ってみたのだが、京平は笑わない。
「……なんで機嫌悪いんですか」
京平のために、祐人が彼に気づかないようにし。
「珈琲でも飲んでくか」
と言う祐人をできるだけ自然に断り。
一度駐車場まで下りて、急いで戻って来たのにっ。
それも全部、専務のためにっ、と思っていると、神妙な顔をした京平が、
「……実は俺はお前のことが好きなのかもしれん」
と言ってきた。
いや、結婚しようとか言っておいて、今、
『実は……』
とか言い出すのも相当おかしいですけどね、と思いながらも、のぞみは京平の言葉を待った。



