わたしと専務のナイショの話

「いや、あまりにも有名すぎて、読みたくなかったというか」

「で、でも、ミステリーの本読んでたら、シャーロックホームズの話、よく出て来ますよね?」

「ああ、そのたびに、まだ読んでないのに、ネタあかしすんなーって思ってたな」

「まあ……ミステリー読む人で、シャーロックホームズ読んでないとか想定してないですからね。

 でも、すらすらっと読めるし、寝る前にでも少しずつでも、読んで見られてはいかがですか?

 実は私も、シャーロックホームズ読んだの、遅くて――」

 などと楽しくミステリー談義に花を咲かせているのぞみは、遠くから、呪いを込めて、自分を見つめる目があることには気づいてはいなかった。