わたしと専務のナイショの話

 苦笑いしたのぞみの前で、祐人は、一瞬、迷ったあとで、白状してきた。

「だが、実は、俺は珈琲を飲みに来たんだ。
 単に、此処横切ったら駐車場から近いから」
と祐人は図書館の先にあるカフェを指差す。

 へー、とそちらを振り返りながら言ったとき、のぞみのスマホが震えた。

 メッセージが入ったようだ。

 鞄から取り出して見ていると、
「どうした、男からか」
と祐人は言ってくる。

「……なんでですか」
と確かに京平からの連絡を待っていたので、ビクビクしながら問うと、

「スマホが鳴った瞬間、どきりとした顔をしたからだ」
とにやりと笑い、祐人は言ってくる。

「此処に来るのか?
 相手の男の顔を見てやろうか?」

 面白がって、そう言う祐人に、のぞみは、

 そんなことをするのなら、駅ビルから突き落としますよ、
と思っていた。

 いや、秘密を守りたい京平が、まず突き落とすに違いないが。