わたしと専務のナイショの話

 



「いろいろ文句言ってても、やっぱり、愛情ってあるんですね」

 部屋に戻り、のぞみが言うと、
「そうだな。
 きっと、愛情の形が変わってくだけなんだろうな」
と京平は言う。

「ちょっと座れ、のぞみ」

 ソファに腰かけた京平は、ソファの少し離れた位置を叩いて、そう言ってくる。

 窓を開けたままだったので、微妙にゾワッと来る外が見えていたが。

 夜だったので、街の光しか見えないから、それほどでもない。

 京平はしばらく、ただ並んでそこに座り、外を見たり、のぞみを見たりしていた。

「結婚って、いいものだな」

 そう京平は言ってくる。

「ずっとお前が居る。

 急いで手に入れなくても――。

 焦らなくても。

 お前は、この先、ずっと俺の側に居るんだもんな」

 そう京平は笑った。

 微笑み返したのぞみが手を握られ、赤くなって俯くと、京平はそっと身を乗り出し、キスしてきた。

 逃げずに受け止めると、京平は少し距離を縮め、のぞみを抱き締めてくる。