わたしと専務のナイショの話

「いえあの、今日は家でご飯を――」
と言いかけるのぞみに、

「なんでも奢ってやるし、なんでも買ってやるぞ。
 幸せにしてやると言ったろう」
と京平は言ってくる。

「いや、だから、金銭の類いや、それに準ずるものはいりません」
とのぞみは即行、断った。

 タダより高いものはないからだ。

 実は先程から、回ってるやつでもいいから、お寿司食べたいな~とか思っていたのだが、此処で口に出すのはやめておいた。

 回ってる寿司と引き換えに、人生を売る羽目になったら、大変だからだ。

「でもそうか。
 お前は自宅だったなよな。

 帰ると家から出づらいか。

 じゃあ、その辺で待っとけ、すぐ行くから」

 おいこら、人の話を聞け、専務、と思っていると、京平は、
「なんだ? 不満げだな」
とのぞみを見て言ってくる。

「あのー、専務。
 好きでもない相手と意地で結婚するのはどうかと思うんですが」

 のぞみは三日前と同じセリフを繰り返してみたが、京平は、
「好きでもないと誰が言った」
と言い出した。