わたしと専務のナイショの話

 のぞみは京平の目を見つめた。

 私は京平さんと居るのが鬱陶しいとか思ったりはしませんよ。

 ええ、きっと。

 すると、京平もこちらを見返してくる。

 俺はお前と居るのが鬱陶しいとか思わないぞ。

 ああ、きっとな――。

 気がついたら、ガッチリ手を握り合っていた二人の前で、おばさんがご主人からの電話をめんどくさそうに取っていた。

「まだ帰らないの?
 またご飯あっためるの、めんどくさ

 ……いや、食べて帰らなくていいってばっ」
とおばさんは怒り始める。

 ひい、と二人で強く手を握り合ったまま固まっていると、おばさんは更に激昂し始めた。

「今日は貴方の好きなチーズ入りのチキンカツなのにっ。
 
 揚げたてを食べさせようと思って、待ってるんじゃないっ。
 早く帰りなさいよっ」

 京平と顔を見合わせ、笑ってしまった。