わたしと専務のナイショの話

 



 のぞみは京平と二人、マンション横の公園を歩いていた。

 昼間は子どもたちでいっぱいな此処も、今は、時折、犬の散歩をする人が居る程度だ。

 のぞみは葉桜になっている桜を見上げる。

 結婚したら、別のところに引っ越そうかと京平は言ったのだが、のぞみは此処でいいと言った。

 京平との暮らしを思ったとき、このマンションや公園がすぐに思い浮かんだからだ。

 そうだ。
 この人と一生を共にすると誓ったんだ。

 怖いからって、ビビるのはもうやめよう、とのぞみは思う。

 きっと後から思い出したら、笑い話になるようなことだ、こんなこと。

 ……帰ろう。

 葉桜の上に見える白く丸い月を見ながら、のぞみは思った。

 そして、月が少し霞んでいるのに気づく。

 PM2.5か黄砂のせいかな? と思ったとき、何故か、京平が、

『よく女が男に、ロマンがないというが、うちは圧倒的にお前がロマンがないな』
と呟く幻聴が聞こえてきた。