わたしと専務のナイショの話

「早く帰らねば、朝練の連中が――」
と焦ったように京平が言ったとき、部室棟の方から、テニスウェアを着た女生徒たちと、彼女らに囲まれた、まだ初々しい感じの男性教師がやってきた。

「あっ!
 槙先生!

 ってか、坂下っ!?

 あっ、なに手つないでんですかっ!」

 同じ三年C組だった、丸田だ。

「うそー!
 丸田くん、教師になったの!?」
とのぞみは叫ぶ。

 早足に近づいてきた丸田は、まじまじとのぞみたちを見、
「え、なにせんせーっ。
 生徒に手出してたのっ!?」
と叫ぶ。

 すると、後ろの女生徒たちが、
「うそー!」
「じゃあ、せんせーも出して出してー!」
と丸田に向かって笑って言い始めた。

「あ、そしたら、受験しなくていいよねー」
「そうよねー、せんせーと結婚すればいいんだしー」
とこの新米教師はおもいっきり女生徒たちにからかわれている。

 丸田くん……、頑張って、と苦笑いするのぞみの前で、丸田はまだ文句を言っていた。