わたしと専務のナイショの話

 



「お祭りやってるじゃないですか」

 いきなり、京平に縁日に連れて来られたのぞみと祐人は立ち尽くす。

 会社から少し離れた海沿いの町。

 なんのお祭りなのか、道路には屋台が立ち並び、たくさんの人が歩いていた。

「さっき戻ってくるとき、見つけたんだ。
 ほら」
と京平は、のぞみたちに、五百円ずつくれる。

「まあ、今は、なんでも一回五百円だったりするからな。
 よく考えて遊べよ」

 寺へと続く、ずらっと並ぶ、きらびやかな屋台を見ながら、京平は、
「俺は射的をやる。
 あんまり遠くへ行って、はぐれるなよ」
と言うと、そのまま、さっさと射的のところに行ってしまった。

「……やっぱり、教師っぽいな」
と手のひらに五百円載せたまま、ぼそりと祐人が言ってくる。

「坂下」

 は、はい、と突然連れて来られた縁日を呆然と見ていたのぞみが返事をすると、祐人が五百円を突き出し言ってきた。

「専務にもらった五百円だが、さっきの詫びになんか奢ってやる。
 なにがいい?」