わたしと専務のナイショの話

 だが、
『うさぎ、飼いますか?』
とちょっと今後の二人の生活に向けての含みを持たせたようなことを言われただけで、舞い上がってしまうくらい、のぞみとの結婚はまだはっきりしていない。

 双方の親は乗り気なのにな、と溜息をつく。

 うちの母親なんて、俺の愛車のグレードを下げろと言うくらいに。

 のぞみに高級車を買ってやる、と言ったのでは、ほどこしを与えている感じになって、余計のぞみが引いてしまうから、車を買い換えろと言ったのだろうが。

 いや、どっちにしても、ドン引きだったようなんだが……と思っていると、樫山は樫山で不安を訴えてくる。

『大丈夫かなあ。
 お前が、教員辞めて、実家の系列の会社を継ぐって、うっかり言っちゃったんだよな、俺。

 早苗、お前がいいとか言い出さないかなあ。

 あっ、それで、マリッジブルーだとか?』

「なに言ってんだ。
 早苗は、俺のことなんぞ、眼中にないさ。

 そんなことより、式場も日取りも、もう決めてるんだよな?」
と言いながら、そういえば、俺たちは、まだ式場も決めてなかったな、と思っていた。