わたしと専務のナイショの話

 



 のぞみが新幹線を降りたあと、
「あ、じゃあ、私、こっちなんで」
と別れようとすると、

「待て、送って行く」
と京平は言ってきた。

「じゃあ、ちょっと駅まで着いたって、お母さんに連絡しますね」
と言って、改札の側でのぞみは電話をかける。

 呼び出し音を聞きながら、京平の方を見ると、京平は足許を見ていた。

 自分もさっき、同じ行動をとってしまったので、その意味がわかり、笑ってしまう。

「うん、そう。
 晩ご飯は新幹線で食べたけど、専務が送ってくれるって言うから。

 大丈夫。
 お茶菓子なら、お土産のお菓子があるから。

 うん、うさぎの」

 浅子にそう言ったあとで、のぞみはスマホを切ると、笑って京平に言った。

「うさぎ、飼いますか?」

 京平は、さっきから、何度も足許を見ていたが。

 足許にまだうさぎが居る感じがするのだろう。

 のぞみもそうだから、よくわかる。

 今にも、あのくすぐったいような、ふわっとした感触が足許に来そうな気がするのだ。