船に乗ったのぞみたちは、席には座らずに、離れていくうさぎ島を眺めていた。
他の客たちも、名残り惜しむように、島を見ている。
ああ、うさぎたちが……。
のぞみは海岸に並び、船に向かって、一斉に手を振ってくれているうさぎのマボロシを見た。
今日夢に出て来そうだな、と思いながら、太陽の沈んでいく方角を見る。
夕暮れの光が海に向かって広がっていて、綺麗だ。
波のせいで、細かく夕日を反射する海面を見ながら、のぞみは言った。
「やっぱり、帰ることにしてよかったです」
ん? と横に立つ京平が言う。
「この夕陽を、専務と見れてよかったです」
「……そうか」
とだけ、京平は言った。



